シーズ発想とニーズ発想の違いを分かりやすく解説

シーズ発想とニーズ発想 サムネ

企業は消費者のニーズの変化に対応して日々新製品を開発していきます。では、新製品開発にあたりどのようにしてアイデアを着想しているのでしょうか。そこで登場するのがシーズ発想とニーズ発想です。今回は、これら2つのマーケティング用語について分かりやすく解説していきます。

シーズ発想とニーズ発想とは

シーズ発想とニーズ発想について理解する前に、まずはそれぞれの意味を押さえておきましょう。

シーズ発想とは

シーズ発想とは、企業が保有する技術やノウハウを新製品に活かし新たなプロダクトを開発する発想です。シーズ発想を基にした新製品開発では、研究開発グループや社内リソースについて詳しい人材が起点となり開発を進めます。そのため、高品質かつ競争力の高い製品サービスを提供できる確率が高まります。

また、新市場を創出する場合は、市場のニーズを掴みずらいため自社の強みを活かしつつ既存顧客から売り上げを確保する方法が有効です。

一方で、アイデアの起点が経営資源をどのように有効活用できるのかであるため、市場のニーズが上手く反映されない場合もあります。シーズ発想で開発される製品は、液晶テレビやパソコンなどのハイテク製品に多いです。

参考:グロービス経営大学院 シーズ発想

ニーズ発想とは

ニーズ発想とは、消費者の悩み事をどのように解決するかという視点でプロダクトを開発する発想です。ニーズ発想は顧客起点で物事を捉えるため、モニター調査などの市場調査をはじめに実施してから新製品開発に着手します。そのため、消費者がどこかで抱いていた既存プロダクトに対する不満を解消するソリューションを提供する形で新製品開発が行われる事が多いです。

この際に良く用いられる考えが、ニーズとウォンツです。ニーズは○○がしたいという願望や悩みであり、ウォンツはそれを解消した製品サービスです。例えば、リラックスしたいニーズを解消したのが、マッサージチェアです。ニーズ発想を基にした新製品開発では、どのようにしてニーズをウォンツに転換するのかを考えながら取り組みます。

ニーズ発想で開発される製品は、ダイエット食品や保湿クリームなどの消費財に多く見られます。

シーズ発想とニーズ発想の違い

シーズ発想とニーズ発想には、アイデアの着想法をはじめとして違いがあります。では、ここでシーズ発想とニーズ発想の違いについて詳しく見ていきましょう。

開発主導者の違い

シーズ発想では、企業の保有する経営資源を上手く活かしたプロダクトを開発できないだろうかという発想で新製品開発に取り組みます。一方で、ニーズ発想では消費者の抱える問題点を解決出来る方法は何かという発想で新製品開発に取り組みます。つまり、開発主導者がシーズ発想の場合は開発者側であるのに対して、ニーズ発想の場合は顧客起点であるといえるでしょう。

競合の多寡

シーズ発想は自社の強みを活かした製品サービスを展開していくため、独自性が強く競合が少ないです。一方で、ニーズ発想は日常生活で誰もが感じている問題点を解決した製品サービスを展開するため、競合が多く競争も激しいです。しかし、高いシェアを獲得できれば多くの売上を見込めるでしょう。

受容のされやすさ

新製品を市場に出した場合、ニーズ発想を基にしたモノは受容されやすいですが、シーズ発想の場合は消費者の興味を惹きつけられないと受容されません。何故なら、ニーズ発想は消費者主導の新製品開発であるのに対して、シーズ発想は開発者主導の新製品開発であるからです。

シーズ発想の事例:Apple

Apple社 画像

引用元:Apple HP

Apple社はシーズ発想を土台にしてiPhoneを発売したことで、莫大な売上を記録しました。

創設者であるスティーブ・ジョブズ氏は消費者はニーズを理解と主張し、消費者にニーズを教える事に主眼を置いていました。この考えのには、企業の持つ技術や人的リソースを最大限に活用して消費者の便益を高める思考が反映されています。

そのため、同社が提供する製品はどれも高品質かつ高性能なハイテク製品の傾向が強いのです。

ニーズ発想の事例:Dyson

掃除機 写真

Disonは、生活者の行動を徹底的に観察して緻密なマーケティングを重ねた事で成功を収めた企業です。

同社は、他社寄せ付けない強力な吸引力のある掃除機を開発し市場で人気を博しています。この掃除機が生まれた背景には、生活者の抱える年月と共に衰える掃除機の吸引力低下に対する悩みを知ったことから始まります。

そして、この悩みを解決すべくDysonは5年間で5127個にも及ぶ試作品を作り、徹底的に生活者が満足の行く掃除機を開発する事を追及しました。その結果「吸引力が変わらない」というキャッチコピーにも表れる強力な掃除機が誕生したのです。

企業はシーズ発想とニーズ発想のどちらを重視すべき

現代マーケティングでは、消費者ニーズを意識した新製品開発が求められています。しかし、だからと言ってニーズ発想だけに頼らずシーズ発想も活用した新製品開発をこころがけましょう。消費者ニーズを基にした新製品開発にこだわりすぎると、イノベーションを起こせずにいつの間にか競合からシェアを奪われている可能性があるからです。

富士フィルムを例に見てみましょう。富士フィルムはかつてフィルムカメラ事業で大きなシェアを築いていました。しかし、デジタルカメラの登場により、その手ごろさからフィルムカメラの需要は一気に衰退しました。そこで、富士フィルムは自社の技術を活かした事業を探し始めました。そこで、フィルムカメラを現像する際に使われていた抗酸化技術を医療に応用し、アスタリスクと呼ばれる化粧品の製造に踏み切ったのです。この化粧品は、抗酸化技術が施されている為、シミの予防に役立ち多くの消費者のニーズを集めました。

これは、まさにシーズ発想を基にした新製品開発であり、もし富士フィルムがシーズ発想をないがしろにしていたら経営存続の危機に立たされていたでしょう。この事からも、シーズ発想とニーズ発想は必要に応じてどちらも取り入れながら新製品開発を行うようにしましょう。

まとめ

シーズ発想は開発者主導のプロダクトアウト型であり、ニーズ発想は顧客ニーズ主導のマーケットイン型の考え方です。時代はマーケットイン型のニーズ発想によりつつありますが、新市場を創出したい場合や思いっ切って多角化経営に乗り出したい場合は、シーズ発想を頼りにした新製品開発を行うと良いでしょう。

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