両利きの経営について事例を踏まえて分かりやすく徹底解説

両利きの経営 イメージ画像

ITの発展が加速度に進み、DX化が推進される現代では、以前よりもイノベーションが起こる頻度が高まっています。イノベーションが起きる事で市場における競争環境が変化し、リーダー企業が衰退する事も少なくありません。しかし、このような自然の摂理に抵抗するようにイノベーションを起こす、あるいは適用する企業が存在するのも事実です。そこで、今回はイノベーションを起こす上で重要な考えとなる「両利きの経営」について事例を踏まえて解説していきます。

両利きの経営とは

両利きの経営とは、企業がイノベーションを起こす事を目的として、「知」を深ぼる事と、「知」を新たに発見するために探索する2つのベクトルでバランスよく事業を進めていくことを意味します。ここでいう「知」とは、自社の知識や技術・スキルを指します。

イノベーションの1つに破壊的イノベーションが挙げられます。破壊的イノベーションについては、【最新版】破壊的イノベーションの意味や事例を分かりやすく解説において紹介していますので一読ください。

知の深化

知の深化 説明図

知の深化では、既存の「知」を伸ばす事を意味します。具体的にイメージを湧かせるために、下記に知の深化の事例を示していますのでご確認ください。

・売れ筋商品の類似製品の考案
・既存技術や知識のアップグレード
・業務の効率化および改善
・既存製品の高品質化

上記の例をみて分かる通り、知の探索は既存の知見やノウハウを伸ばしたり、付け加えを行う事を指します。簡単にいうと、1を10に伸ばすと捉える事が出来ます。

知の探索

知の探索 図

知の探索とは、知の拡大を基にして新たな知を求めて模索する事を意味します。これは、知の深化だけでは不十分な点もありそれを補うためにも存在します。例えば、ティッシュの箱を作るメーカーがあったとします。これまではティッシュの軽量化などを目標に、1だった知(箱の製造技術)を10にまで仕上げる事を目標に知の深化に注力してきました。しかし、エコと共にティッシュ箱の存在が消滅してしまった場合、これまでの知の深化の努力は水の泡になり会社の存続危機に関わる事態になってしまいます。

そこで、知の探索を行う事でこれまでの技術を活かすと共に、全く新しい製品を提供できる機会を見つける事が可能になります。このようにして、自社のポジションを崩すことなく効率の良い経営が図られるのです。

知の探索は知の深化と比較して手間やコストがかかりますが、中長期的に見ると大きな利益を創出する可能性に繋がりうるので企業は目先の利益や損を気にせず取り組んでいく必要があります。

両利きの経営は難しい

両利きの経営を実践するには、非常に難しいとされています。何故なら、経営陣は自身の失敗を恐れて新しい事に取り組もうとせず、過去の成功を基に事業を回したがる事が多いからです。これは、モラルハザードにも繋がります。

日本は、失敗を恐れて保守的な経営に走る企業(特に大企業)が多い為、既存の知を伸ばす知の深化は得意だが、知の探索についてはまだまだであると言われています。そのため、イノベーションが必要な時代にも関わらずそれを起こせない為、世界における日本企業のプレゼンスは以前ほどの勢いは無く、衰えを見せ始めているのです。

モラルハザードについてはモラルハザードとは何かを事例を用いて原因と対策を分かりやすく解説において紹介しています。この記事を読み終えた後にご覧ください。

両利きの経営のポイント

両利きの経営を行う上で押さえておきたいポイントがあります。それは知の深化と知の探索のどちらにも偏り過ぎない事です。仮に、知の深化に偏り過ぎてしまうと、注力事業の他が疎かになり代替品が現れた場合に企業存続の危機に陥ってしまう可能性があります。逆に、知の探索に偏りすぎてしまうと、いつまで経っても専門性が磨かれずに凡庸な製品しか市場に出せなくなります。

そのため、両利きの経営を実践する上では知の探索と知の深化のバランスを程よく保ちながら、どちらにも偏ることなく進めていくことが求められてくるのです。

両利きの経営が注目される理由

両利きの経営は何故注目されているのでしょうか。その答えはイノベーションにあります。従来の社会であれば、モノの数はそれほど充実しておらず自身のニーズを満たす商品が欲しくても、それを必ず手に入れられる社会ではありませんでした。しかし、産業の発展と共にモノの充足が始まり消費者のニーズが満たされるようになると、次は商品+付加価値を求め精神の充足を図るようになりました。

こうなると、従来の最低限の二―ズを満たしていた商品だけでは消費者は満足する事は無くなります。そこで、新たに画期的なイノベーションを生み出し、消費者の精神の充足を図る事が企業には求められるようになったのです。しかし、ITの発展によりイノベーションは加速度的に起こっています。このような時代の流れの速さに対応して、市場から後れを取らないようにするためにも、両利きの経営は今注目を集めているのです。

両利きの経営のによる成功事例:富士フィルム

両利きの経営は大企業であればあるほど実践する事が難しいと伝えましたが、富士フィルムはその壁を打ち破り成功を収めた企業です。デジタルカメラが普及する以前は、フィルムカメラが主流であったため、どこよりも性能の高いフィルムを製造しようと躍起になる企業が多かったです。

しかし、デジタルカメラの登場と共にフィルム産業が陰りを見せると、その危機を察した富士フィルムは写真技術の1つである抗酸化技術も用いてアスタリスクと呼ばれる化粧品を開発する事にしました。そうして事業の多角化を図ることで衰退するフィルム産業の波にのまれずに済んだのです。この他にも、抗酸化技術を活用して医薬品を製造する等して事業の多角化を図り安定した収益を確保しています。

一方で、当時フィルム業界で富士フィルムの競合であったコダックは、このイノベーションの波に乗り遅れ倒産してしまいました。このことからも、両利きの経営が如何に大事であるかが分かると思います。

まとめ:視野を常に広く持った経営が大切

両利きの経営はイノベーションを起こすために欠かせない重要な役割を果たします。しかし、知の探索と知の深化を両立させることは非常に困難であり、成功させるためには両者のバランスを良く取った経営をしなければなりません。そこで求められるのが、視野を広く持ちどちらにも偏ることなくアプローチすることの出来る視野の広さです。これを大事に、経営者の皆さんはイノベーションを起こす為に日々挑戦していきましょう。

 

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