アップルとエピックの対立はどちらが正しい?|プラットフォームとコンテンツサイドの力関係はどうなる

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現代ビジネスにおいて富を築くための必須条件ともいえるプラットフォームビジネス。プラットフォームビジネスにより様々な便益が拡大し、消費者の生活者はより豊かなものとなっています。このプラットフォームビジネスはBtoCの側面もありながら、BtoBの側面も持ち合わせます。それがApp StoreやGoogle Play。非常に便利なサービスを提供しているゲームアプリのプラットフォーム。実は、このプラットフォームに波乱が巻き起こっているのです。今回は両社の対立構造が分かりづらい人向けに分かりやすく解説をしたので参照ください。

    目次

エピックによる訴訟

先日、人気ゲームアプリ(Fortnite)を提供するEpic Games社がApple社に対して反トラスト法(独占禁止法)に違反しているとして訴訟を起こしました。Appleがプラットフォーマーに対してEpic Gamesがコンテンツの構造。一見すると、単なる企業VS企業の裁判に思えるかもしれませんが、これが今後のプラットフォームビジネスに大きな影響を与えるとの見解が示されているのです。

訴訟に至る経緯

Apple社やGoogle社はゲーム会社を始めとしたコンテンツ供給サイドが有料アプリをリリースする際に、自社独自の決済サービスを使うことを義務付け、手数料として売上の30%(通称:Apple税)を徴収していました。結果、Apple社はアプリプラットフォーム市場において65%のシェアを占めるまでに成長したのです。これに対しEpic Games社はApple税を不透明に感じ、Appleの手数料を介さずに課金アイテムを入手できる販路を規約違反する形で開拓します。

これが発覚したことでApple社はリリース3年で3.5億人のユーザー数を超える規模を誇った「Fortnaite」のアプリを削除し、新たにダウンロードが出来なくなる措置を施しました。この対応に対して、Epic Games社はApple社を独裁者と痛烈に批判した動画を配信する形で抵抗します。そしてApple社が反トラスト法に違反するとして訴訟を起こしたのです。

裁判の焦点

今回の裁判の焦点は主に3つあります。

①反トラスト法違反しているか
②消費者や開発者に不利益があるか
③Apple税が割高なのか

①反トラスト法違反しているか

Apple社は自社の提供するプラットフォームサービスであるApp Store以外でのサービス配信を受ける事を制限しています。iosを搭載したスマートフォンはアップデートする際に、必ずApp Storeを介してしなければなりません。一方のGoogleはOSを搭載したスマートフォンでGoogle Play以外の配信サービスを利用する事を容認しています。その他、iosを搭載したスマートフォンではApp Storeを経由してアプリをダウンロードしなければなりません。これらの点が反トラスト法にあたるとしてEpic Games社は訴訟しています。

②消費者や開発者に不利益があるか

Epic Games社はApple社の設けた制限があるために、アプリ価格が高くなり消費者の便益が低下している。そのせいで市場競争の促進を妨げ、イノベーションの遅延をもたらしていると主張しています。これに対し、Apple社はApp Storeで提供されているサービスは自社の基準をクリアしたものである。そのおかげで消費者が安全にサービスを享受できていると反論しています。

③Apple税が割高なのか

Epic Games社はApple社の徴収する手数料30%が「法外である」「不当である」。手数料を下げる事でゲーム開発費に予算を回せると主張しています。さらにApple社と競合するアプリにあらゆるイノベーションを阻害しているとし、生活者の利便性が提言する事に警鐘をならしています。これに対しApple社は競合であるGoogle Playも同等の手数料を徴収している・安全や信頼を確保するためにも妥当な手数料であるとの立場を貫いている。

寡占状態に対する政府の対応

GAFAは提供するサービス自体が参入障壁が高く、独自性が強いために模倣困難性が高い傾向にあります。時価総額世界ランキング1位2兆ドルの規模を誇るApple社を始めとして、GAFAはその潤沢な資産を活用し自社の地位を脅かす可能性のある企業を買収し寡占状態にしているとの声が上がっています。IT市場はまだまだ成長市場であるため、細かな規制が進んでいない事を良い事に寡占を作り出すのは良くないとし、米議会はGAFAを標的にして反トラスト法を改正しました。

政府サイドからGAFAを標的とした法律が制定された背景には勿論、国民の声があります。日本市場では、楽天モバイルでもお馴染みの「日本のスマホ代は高すぎる」と叫ばれる声が上がった結果、大手携帯キャリア会社に対して携帯料金を引き下げるよう政府から声がかかっています。

今回のEpic Games社の訴訟を後押しする声は多方面から集まりました。人気出会い系アプリを提供しているTinderを始めとして、様々なゲーム提供会社から応援の声がEpic Games社に寄せられています。すると、プラットフォーマーに対して、コンテンツサイドからの不満が高まる事で、手数料の引き下げなどを受けざるは得ない状況に突入します。
しかし、現時点でApple Storeに代わるゲームプラットフォームはGoogle Playしか無いためApple優位の状態は変わらないでしょう。

まとめ

資本主義社会において自由競争と一口にいっても力の無い企業は淘汰され、力のある企業は市場に残り続けます。これを続けると必然的に寡占・独占の状態は進んでいきます。これを是正するのが政府規制であり、規制をかけすぎると逆にイノベーションの阻害要因となってしまいます。これを防ぐためにも、政府がしっかりと見極めて適切な産業規制を引くことがより一層求められる時代になることが予想されるでしょう。

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