バリューチェーンの再構築とは?意味や事例を交えて解説!

バリューチェーンの再構築 サムネ

自社分析を通してバリューチェーンを活用する際に、企業は外部環境にも目を向けなければなりません。何故なら、顧客への価値提供は自社のみならず協力企業との助け合いがあってこそ実現されるからです。つまり、これらの外部企業と如何に結託するかを考える事が企業活動において重要となるわけです。では、実際にどのようにして他企業とコラボレーションを図るのでしょうか。そこで今回は、この議論をまとめたバリューチェーンの再構築(デコンストラクション)について解説します。

    目次

バリューチェーンの再構築(デコンストラクション)とは

バリューチェーン再構築(デコンストラクション)とは、BCGによって提唱された概念で、新たなビジネスシステムによりバリューチェーンを分解・再構成され、事業構造が変化した状態を表します。BCGは、従来型の一貫した事業モデル(インテグレーター)とは異なる、新たな戦い方を提示しています。

近年のIT化の流れに伴い、アナログでは出来なかった事がデジタルによって可能になったことで、バリューチェーンの再構築(デコンストラクション)の必要性が叫ばれてきました。イノベーションの影響により、ビジネスモデルや産業構造自体が変化したことで、企業はバリューチェーンにおいて特に強みを発揮できる部分に注力する等して時代の流れに合わせた企業活動をするようになりました。

参考:グロービス経営大学院 デコンストラクション

4種類の再構築(デコンストラクション)

BCGは、再構築(デコンストラクション)は4つの種類があると提示しました。①レイヤーマスター②オーケストレーター③マーケット・メーカー④パーソナル・エージェントです。以下で、この4種類の再構築(デコンストラクション)について詳しく見ていきましょう。

レイヤーマスター(専門特化型企業)

レイヤーマスターとは、バリューチェーンにおいて自社が最も強みを発揮できる1箇所に特化して、局所的に圧倒的な力を保持し自社の地位を獲得する戦い方を指します。そうする事で「レイヤーマスターの協力が無いとビジネスが成立しない状態」を作り出すのです。パソコン業界においてはマイクロソフト、モノづくりを助けるメーカーにおいてはキーエンスなどが挙げられるでしょう。

オーケストレーター(外部機能活用型企業)

オーケストレーターとは、ある要素において強みを発揮・保持し、バリューチェーン全体を指揮する戦い方を指します。従来の戦い方とは異なり、コア機能だけを保持しその他のコストが大きな工程はアウトソーシングする等して、バリューチェーンを最適化する事で全体の価値を高めていきます。この戦い方では、一部の機能に特化し、如何に全体の効率化を図るのかに焦点を当てます。

マーケット・メーカー

マーケット・メーカーとは、既存の仲介機能が効率的に運営されていない箇所を担当し新たにマーケット(仲介市場)を設立する企業を指します。製品サービスの提供者と利用者が多く分散していればいる程、マーケット・メーカーの登場可能性が高まります。マーケット・メーカーの代表例として、不動産はSUUM」,中古車販売はガリバーが挙げられます。

パーソナル・エージェント

パーソナルエージェントとは、顧客ニーズを理解してそれに合わせた製品サービスを提供する戦い方を指します。旧来のビジネスでは製品サービスの提供サイドの視点でバリューチェーンが構成されていましたが、パーソナル・エージェントでは消費者や顧客の立場でバリューチェーンを構成しています。パーソナル・エージェントの代表例として、EC業界ではAmazon,生産財ではミスミが挙げられます。

バリューチェーンの再構築におけるポイント

BCGは、バリューチェーンの再構築(デコンストラクション)を行う際に見るべき箇所として5つのポイントを挙げています。

  1. バリューチェーンの中で費用対効果が低い箇所
  2. 自社の事業でネットワーク化により影響を受ける箇所
  3. デコンストラクションにより必要となる能力や新たな事業活動
  4. 自社の経営資源の中で負債になりえる部分
  5. バリューチェーンにおいて自社の事業が一部or全部になるのか

以上の5つがバリューチェーンの再構築(ディストラクション)において考えるべきポイントになります。これらをチェックする際には、まずは自社の事業業界内でどのようなポジショニングであるのかを見極めたうえで行いましょう。また、主観的な分析に頼らずに可能であればデータと照らし合わせて客観的な視点を基にバリューチェーンの再構築を考えていきましょう。

まとめ

バリューチェーンの再構築(ディストラクション)は企業にとって今後ますます必要性が増す事でしょう。IT化の波に適合して利益を生み出すためには時代に合わせた経営活動が求められます。順応できる企業は売り上げを伸ばし、反対にそうでない企業は衰退ことは言うまでもないでしょう。

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