競争地位戦略とは|意味や事例を踏まえて分かりやすく解説

競争地位戦略 解説図

企業が活動するうえで欠かせないもの。それが経営戦略です。当然ながら、経営戦略は企業によって異なり大企業には大企業に適した戦略,中小企業には中小企業に適した戦略があります。業界トップを走る企業とそれに追随する企業とでは競争戦略は異なるのは必然でしょう。そこで、今回は読者の方々が自社の競争地位に応じた戦略をどのように取るべきかを理解し実践に繋げるかを理解するために、大企業・中小企業別の業界地位に応じた競争戦略について解説していきます。

競争地位戦略とは

競争地位戦略 図

競争地位戦略とはライバル企業が無数に存在する市場において、自社の市場占有率に基づいた業界地位別の戦略を取るべき考えを指します。上から順にリーダー・チャレンジャー・フォロワー・ニッチャーと呼びます。市場占有率とは自社製品が市場でのシェアを占める割合を指します。この数値が高ければ高い程業界地位は高くなるわけです。当然、大企業は知名度・リソースを活かした戦略を打つので中小企業が模倣しても勝ち目はありません。そのため業界地位別の戦略を取る事が必要となるわけです。

 

リーダー

リーダーは、業界内で最大のシェアを占める企業を指し、業界内のペースメーカーのような存在を言います。リーダーが新たな製品をリリースすると他社も追随する戦略を取るため、市場のパイが拡大するとその恩恵を最大に受ける事が出来ます。

リーダー企業の例として、ウイスキー業界ではサントリー、コンビニ業界ではセブンイレブンが挙げられます。

チャレンジャー

チャレンジャーは、市場において1番ではないが、1番の座を十分に目指せる2番手や3番手の企業群を指します。2位・3位の座になると1位の模倣をしてシェアを確立しようとするのではなく、むしろ差別化をしてリーダーの出来ない戦略を取る事が求められてきます。

チャレンジャー企業の例として、国内携帯電話業界ではソフトバンク、自動車業界では日産などが挙げられます。

フォロワー

フォロワーは、市場において1位には程遠い存在であり、これといって特筆すべき独自性が無い企業を指します。リーダーやチャレンジャーと比較すると見劣りするかもしれませんが、コストダウンや2番手商法で収益性を上げていくことが目標となります。

ニッチャー

ニッチャーは、リーダーやチャレンジャーの企業群が見過ごす又は敢えて取り組んでいないポイントに特化した企業を指します。市場規模は小さいながらも、独自性を発揮して一部の市場で活躍する企業がこれに該当します。

ニッチャー企業の例として、少数の富裕層を狙いとした高級腕時計メーカーのロレックスが挙げられます。

競争地位に基づいた戦略

競争地位戦略 解説図

ここまでリーダー・チャレンジャー・フォロワー・ニッチャーについて解説してきました。では、実際にこれらの企業群はどのような戦略を実行していくのでしょうか。では、以下で具体的にリーダー・チャレンジャー・フォロワー・ニッチャーの戦略について見ていきましょう。

リーダーの戦略

リーダー企業は、価格変更・新製品導入・プロモーション・市場シェア等において、他企業をリードしているため基本的には全方位に事業を推進する事が推奨されています。

その戦略の優先順位は、追随するチャレンジャーの売り上げ規模や業界シェアなどにより変わりますが、典型的なリーダー企業の取るべき戦略は2つあります。

①市場の拡大

リーダー企業は、市場において最大シェアを築いているため、市場が拡大すればするほどその恩恵を享受します。そのため、市場の拡大を目指した戦略を取り、自社の利益を最大化する事を目標にした戦略を取るのが定石です。

②市場シェアの維持・拡大

リーダー企業とチャレンジャー企業の市場シェアの差が小さい場合は、競争地位が逆転する可能性が高まります。それを防ぐために、リーダー企業は市場シェアの維持・拡大に努めなければなりません。具体的には、新商品開発や広告投資などの攻めの戦略が挙げられます。

③非価格対応

市場が成長すればするほど、その恩恵を真っ先に受けるのはリーダー企業です。もし、リーダー企業が値引き価格で製品を販売したら、他の企業も追随して価格を下げて販売するでしょう。そうすると、業界平均価格が下がり結果的にリーダー企業の収益が下がってしまいます。

チャレンジャーの戦略

チャレンジャーは、業界内においてリーダーとの距離が非常に近い存在です。チャレンジャー企業もリーダー企業と同様に、市場シェアの開き具合や経営資源の差により取るべき戦略の優先順位は変動しますが、代表して2つの戦略が挙げられます。

①リーダーとの真っ向勝負

リーダー企業とフォロワー企業との間に市場シェアや経営資源に差が無い場合は、リーダー企業の提供製品とはある程度差別化しつつ、広告・チャネル・商品開発などを似た方法で真っ向勝負する戦略が有効です。

例えば、ペプシとコカ・コーラの競争や吉野家とすき家の争いなどがあります。しかし、この戦略は価格戦争にもつれ込むと消耗戦になる事もあるので、それに耐久出来るだけの体力があるのかを事前に確認しておきましょう。

②リーダーの出来ない事をする

リーダー企業は、その規模の大きさ故に社内事情などにより実行できない部分も存在します。つまり、チャレンジャー企業はリーダー企業が事情により攻めることの出来ない部分も攻める事で、地位の逆転を狙う戦略もあるのです。これは、リーダー企業との真っ向勝負を避けて賢く勝つためにも有効でしょう。

特に、リーダー企業との規模に差があり過ぎる時には真っ向勝負を仕掛けても負け戦にしかならないため、攻め方を工夫しなければなりません。

フォロワーの戦略

フォロワー企業は業界1位を目指す事は難しく、加えて経営資源において量も質も芳しくないため、リーダーやチャレンジャーの戦略を迅速に模倣して自社の地位を保つ必要があります。

そうする事で、自社よりも地位が上のリーダー・チャレンジャーと対立することなく、悪実に収益を上げる事が可能になります。

ニッチャーの戦略

ニッチャーの戦略は、ポーターの提唱した3つの基本戦略のうち集中戦略に近いです。ニッチャー企業は、自社の強みを活かせる市場を発見し、そこにリソースを割く事で局所的に1位の座を築き、競合の参入を防ぐのが定石となる戦略です。しかし、過度な集中はリスクもあるため、ある程度成長したらニッチな市場を複数押さえる事も求められてきます。

ポーターの提唱した3つの基本戦略について詳しく知りたい方は「3つの基本戦略や戦略グループを何かをタイムベースの競争と併せて分かりやすく解説」をご覧ください。

競争地位戦略による成功事例

ここまで各業界地位に基づいて取るべき適切な戦略について解説してきました。さらに、競争地位戦略について理解を深めるためにも、ここで競争地位戦略による成功事例をいくつか紹介したいと思います。

リーダー企業の事例:サントリー

サントリーは、ウイスキー業界の市場拡大に努めた結果成功を収めました。ウイスキー市場は、1983年をピークとしてずっと下り坂でした。そこでサントリーはウイスキーの美味しい飲み方を提案したり、ウイスキーを薄めたハイボールをの商品開発に力を入れ、若年層へのアプローチに注力しました。CMなどのプロモーションにも注力した結果、ヒットを収めて2009年には若者からの知名度が3割から8割にまで上昇しました。

出典:サントリー/ハイボール復活プロジェクト

ニッチャー企業の事例:石野製作所

石野製作所は、回転寿司のコンベアを製造する企業です。同社は、回転寿司のコンベアに特化するだけでは経営が続かないため、洗浄機や食品加工機器などに事業を拡大する事で、ニッチ企業ならではのリスクの分散を図り今日の地位を確立しています。

まとめ:地位に応じて攻め・守りの戦略を考えよう

競争地位戦略では、市場シェアや経営資源の状態により自社の取るべき戦略が変わります。リーダー企業は基本的に全方位戦略を中心とした攻めの戦略を実行し、フォロワー企業は取り合えず今ある地位を守るべく、模倣戦略を実行します。このように、自社の置かれた状況により企業は取るべき戦略が全く異なるのです。これを意識して、自社は業界内でどの地位に属するのかをしっかりと見極めて戦略を考えるようにしましょう。

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