プロスペクト理論とは?事例やマーケティングでの活用法を分かりやすく解説

プロスペクト理論

人は、損得勘定を基準にして商品を購買する傾向があります。この意思決定の裏にあるのが、今回解説する「プロスペクト理論」です。これを知ることで、損するリスクを避ける他にも、マーケティングに活用する事で利益を上げる事が可能になります。

そこで、今回は「プロスペクト理論」の意味や事例、マーケティングでの活用方法を分かりやすく解説していきます。

    目次

プロスペクト理論とは

まずは、プロスペクト理論がどのような意味を持っているのかを簡単に解説していきます。ここでは、実際の意味や簡単な事例を押さえていきましょう。

プロスペクト理論の意味

プロスペクト理論とは、行動経済学者であるダニエル・カーネマン氏とエイモス・トベルスキー氏が提唱した理論です。具体的には、「不確実な状況下で意思決定を行う際に、事実と異なる認識の歪みが作用するという意思決定モデルを表した理論」を言います。

プロスペクト(prospect)は、「期待、見込み」の意味を持つ単語です。この理論は、人間が性質として持つ損失を避けたい心理から招かれる行動を表しています。

参考:プロスペクト|グロービス経営大学院

プロスペクト理論の簡単な事例

プロスペクト理論の提唱者であるカーネマン氏とトベルスキー氏は、この理論を証明するために多くの実験をしました。下記では、その中でも有名な実験について紹介していきます。では、実際に下記の事例を通じてプロスペクト理論を体験してみましょう。

質問1

  • A:100%の確率で100万円をもらえる
  • B:コインを投げて表が出たら200万円を貰える

この場合、ほとんどの人がAの選択肢を選ぶとされています。では、次の質問ではどうでしょうか。

質問2

  • A:何もせずに200万円の借金から100万円返済される
  • B:コインを投げて表が出たら200万円の借金が免除されるが、裏が出たら免除されない

この場合では、ほとんどの人がBの選択肢を選ぶとされています。しかし、実際は質問1と質問2の言い回しは期待値から見ると何も変わらないにも関わらず、「借金(損失)」が提示される事で大多数の意思決定に変化が起こってしまうのです。これこそ、まさにプロスペクト理論の本質といえるでしょう。

ここからは、プロスペクト理論への理解を深めるために、軸となる2つの柱を解説していきます。プロスペクト理論は、損失を避けたいという心理は、さらに「確率加重関数」と「価値関数」の2つに分類されています。それぞれについて解説します。

プロスペクト理論を支える2つの指標

プロスペクト理論を語るうえで外せないのが「確立加重関数」と「価値関数」の2つの指標です。それぞれ、難しい用語であると感じる方もいらっしゃるとは思いますが、具体例を通じて簡単に解説しているので心配せずに大丈夫です。

確率加重関数

確立加重関数とは、起こりうる確立自体を認識するのではなく、確立が低いときに過大評価し確立が高いときに過小評価する事を表した関数です。宝くじを例に見てみましょう。宝くじは、高額当選する確率はとても低い事で有名です。しかし、購入する人がいつの時代も多いのは、実際の確立よりも主観に頼った購買意思決定をしているからです。これこそ、確立加重関数が色濃く表れている例といえるでしょう。

価値関数

価値関数 グラフ

価値関数とは、人が感じる価値の歪みを示したグラフであり、「横軸に人間が感じる損失や利得の程度」「縦軸に価値の大きさ」を取って表します。上記画像のグラフでも示した通り、人は利益額と損失額が同等でも損失を被る方が強い感情を抱くとされています。パチンコで考えると分かりやすいでしょう。

例えば、パチンコで5万円勝ったものの、ある時点で5万円の損失を被るとします。そして、なんとか5万円を取り返す事が出来たとしても、多くの人は何とか勝ち越してパチンコを終えようとするのです。これは、価値関数で見る通り負の感情の方が大きい為、感じる価値の大きさを+にしようとする心理が働いています。これが災いして、多くのギャンブラーは負け越してしまうのです。

プロスペクト理論から分かる心理

プロスペクト理論を紐解いていくと、人間の3つの心理傾向が分かるとされています。

人は得よりも損を感じる感情が強い

価値関数のグラフからも分かる通り、人は本質的に損を強く感じる生き物です。

カーネマン氏とトベルスキー氏の行った実験からも分かるように、人は利益を得る確率と損失を被る確率が同じ場合、損失を避ける選択をする傾向にあります。「これを購入する事で○○%お得」と表記するよりも「損をしない為の大事な選択」との文言を入れた方が、この心理を上手く活用した売り方であるといえるでしょう。

人は必ずしも確率を重視した選択をしない

確率加重関数で記した通り、人は小さい確率を過大評価して大きい確率を過小評価する傾向があります。このことから、人は客観的な確率ではなく主観的な確率に基づき判断している事が分かります。

販売戦略においては、数字を如何にして伝えるかを工夫すれば、消費者の行動心理に影響を与えて上手く売り上げを伸ばす事が可能になるのです。

有利な時は安定志向になり不利な時はリスク志向

株式投資などの活動において、損失は誰しもが被りたくありません。

そのため、投資家は利益を出すよりも損失を避ける事を優先し、収益が出ている場合は損失を回避して安定を維持する事を望む傾向があります。反対に、損失が出ている場合はリスクを取ってでも損失を取り戻そうとする傾向があります。

一見すると、対立するこの心理は確立を客観的ではなく主観的に判断してしまっている事が原因です。

プロスペクト理論のマーケティングへの活用法

マーケティングの世界では、プロスペクト理論を活用した戦略が組まれる事が多いです。ここでは、プロスペクト理論のマーケティングへの活用法を具体的に紹介しているので、学習して理解を深めておきましょう。

コピーライティングにおける活用法

コピーライティングでは、消費者の関心を引き寄せる必要があります。そこで、良く使われるのがプロスペクト理論を活用したコピーライティングです。

「先着順」「早い者勝ち」「このままで大丈夫!?」などのコピーライティングは、今購入しないと後に損をすると感じさせることで消費を上手く促しています。

不安(損)の要素を取り除いた販売戦略

プロスペクト理論の裏を返すと、「消費者に損を感じさせなければ購買に繋がる可能性は上がる」ということです。そのため、この点を意識して以下の制度を設けると消費行動へ踏み切る消費者も増える可能性があります。

  • 無料お試しの設定
  • 返金保証
  • アフターサービスの充実

これらの他にも、購買へ繋げる様々な工夫が施されています。その1つにフリーミアムモデルと呼ばれるマーケティング戦略が存在します。当サイトで解説した記事のリンクを貼っておきますので是非ご覧ください。

まとめ

今回紹介したプロスペクト理論を学ぶことで、日常に潜む非合理的な意思蹴ってを行うリスクを避けることが可能になります。また、マーケティングの場面においては、消費者を上手く誘導して購買へ繋げる事も可能です。今回紹介した理論だけでなく、他のマーケティング戦略と組み合わせて効率良く利益を確保していきましょう。

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