皆さんはパレートの法則をご存知でしょうか??
この法則は別名80:20の法則/働きアリの法則とも呼ばれ、実に興味深い法則として知られています。
企業が自社の製品サービスをどの層が良く利用し利益を生み出しているのかを確かめ、プロモーションに活かすための指標の1つでもあります。この記事を読みパレートの法則を理解する事で企業がお得意様やリピート顧客大事にする理由を論理的に把握する事が出来ます。今回は、この法則の意味や具体例を紹介していきます。
目次
パレートの法則とは
パレートの法則とは売上全体のうち8割の売上を2割のヘビーユーザーが創出し、残りの2割の売上は8割のユーザーが創出する法則です。
これは別名80:20の法則/働きアリの法則とも呼ばれており、日常の様々なところで目にする事が出来ます。
・会社の8割の成果は2割の優秀な社員が生み出している
・所得税で集まったお金のうち8割は2割の人が寄与している
・所有する洋服のうち2割のお気に入りの洋服を普段から着る
企業は顧客全体のうちの2割の優良顧客が8割の売上を創出していることから、当然8割の顧客と2割の優良顧客に対する待遇を差別化する事でより強固な自社のファンにする事を目指します。デパートの外商が分かりやすいでしょう。外商は自社に一定水準の利益をもたらす顧客に対し付きます。そして彼らが望むような商品を取り揃え売り場を通さずに直接販売します。このようにして、優良顧客のさらなるファン化を目指す企業も存在するのです。
対義語:ロングテール
パレートの法則と対となる言葉にロングテールが挙げられます。ロングテールとはニッチな製品の売上がヒット商品の売上を上回る現象を指します。一見、パレートの法則とロングテールは矛盾が生じるように思われますが、この理由にはインターネットの普及が関わってきます。パレートの法則はインターネットが普及する以前に重宝されていた考えです。当時は、インターネットが身近な存在ではなかったため商品購入の際に比較検討する手段が充分ではありませんでした。また、商品の種類も今とは違いさほど多角化していなかったため、ニッチ市場における消費者ニーズは少なかったのです。
しかし、インターネットの普及により自らのニーズを充足する商品を簡単に検索する事が可能になりました。特に、EC市場では求める製品の特徴を検索するとすぐに表示され、関連製品までレコメンドされます。これにより、消費者のニーズを満たす商品が多く発掘される機会が増えロングテールの考え方が生まれたのです。
リアル店舗販売でリピート顧客を重視する事業であればパレートの法則,インターネットを活用し多くの在庫を抱える事業であればロングテールに比重を置いて戦略を展開すべきです。
こちらの記事でロングテール戦略について事例を交えて詳しく解説しています。
この記事を読み終わった後に一読すると一層理解が深まります。
ロングテール戦略とは?成功事例とパレートの法則の違いを踏まえ分かりやすく解説
パレートの法則を経営戦略に活かす
パレートの法則を知っていても実践に活かす事が出来なければ意味はありません。パレートの法則はコストカットやプロモーション戦略に深く関わる法則なのです。
安いコストで短い時間で多くの利益を出す
以前に規模の経済や範囲の経済でも解説したように、安いコストで多くの利益を創出する考えはビジネスの基本です。この考えがパレートの法則でも通用するのです。
2割のユーザーが8割の利益を創出しているならば、その原因を解明する事で自社のマーケティング戦略に活用する事が可能です。ブランド価値・立地・接客など要因は様々ですが、2割のヘビーユーザーにある程度の焦点を絞ってマーケティング活動を行えば自社の売上が伸びている要因を突き止める事が可能です。その調査により出た売上を伸ばす要因を基にして、2割の売上を生み出す8割のユーザーにマーケティング活動を行い、ヘビーユーザー化する戦略を実行する事も実現可能になってきます。
その際に重要になってくるのがどこにコストを割くのかという事です。2割の優良顧客に喜んでもらうために自社プロダクトの開発費用にコストを割くor8割の潜在顧客をファン化するためにキャンペーン費用や広告宣伝費用にコストを割くかを検討する必要があります。この見極めは自社だけでなく他社の動きを見つつ行う必要があります。これが上手くいくと、多額の利益創出に繋がるのです。
パレートの法則の注意点
パレートの法則は単純な法則ではありますが、その反面で用法を誤ると自社に損失を与えてしまう可能性があります。以下では、その2点について解説していきます。
ヘビーユーザーのみに焦点を当てたマーケティングはNG
勿論、パレートの法則は便利ですが
便利であるが故の落とし穴も存在します。
それは、全体の売上の多くを生み出すヘビーユーザーのみに焦点を当てたマーケティングをしてはいけないということ。
当然、ヘビーユーザーに対してマーケティング活動を行い続ければプロモーション費を安く済ますことが出来るし余計な生産コストがかさまないメリットがあります。
しかし、そればかりをしていると当然新規顧客の流入の機会は失われ、ヘビーユーザーも他社に流れてしまい売り上げが先細りする可能性があります。
だからこそ、80:20の法則に則ってバランスの取れたマーケティングを行うことが大事なのです。
全ての事象に当てはまるわけではない
ここまで、パレートの法則について解説してきましたが
勿論すべての事象に当てはまるわけではありません。
この法則を適応させる際にはしっかりとデータを基にして分析する事が重要です。
物事には必ず例外があります。
その例外に気づかずにパレートの法則に則って誤ったマーケティングを行ってしまうと自分の首を絞めかねません。
まとめ
パレートの法則は単純でとても便利な分析指標です。
しかし一方で、例外があるのも事実です。
大事なのは、法則ばかりに囚われずにデータを基にした分析を行うこと。
これを肝に銘じて企業活動に励むことでしっかりと次のステップを着実に踏んでいきましょう。