ネットワークの経済性やクリティカルマスとは?意味や事例を分かりやすく解説

プラットフォームとクリティカルマスの解説

巷ではテクノロジーの発展と共にDX化(デジタルトランスフォーメーション)が叫ばれている。もはや、私たちが生活する社会にネットは不可欠な存在であるともいえるでしょう。そんなネットサービス利用する私たちは当然ながら、それを提供する企業によって支えられています。特に、プラットフォームビジネスは今後のIT企業による生存戦略のカギを握るとも言われています。今回は、そのようなプラットフォームビジネスを提供する企業が駆使しているネットワークの経済性について解説します。

    目次

ネットワークの経済性とは

ネットワークの経済性とは、ITが消費者に広く普及したことで生まれた新たな概念です。SNSやフリマなどのユーザー同士によるコミュニケーションが大切なサービスは全て、ネットワークの経済性が働くことによって成り立っています。ここでは、そのようなネットワークの経済性の意味やクリティカルマスについて詳しく解説しています。

ネットワークの経済性の意味

ネットワークの経済性の意味について、グロービス経営大学院では下記のように定義しています。

ネットワークの経済性とは、SNSや電子メール、電話などネットワーク型のサービスにおいて、利用者が増えれば増えるほど、個々の利用者の利便性が増し、顧客獲得コストやサービス提供コストが低減する現象を指す。ネットワーク外部性やネットワーク効果とも呼ばれる。

引用元:グロービス経営大学院_ネットワークの経済性の意味

もう少し分かりやすく解説すると、企業の提供するネットサービスを利用者が増えれば増えるほど利用者の利便性が高まり、企業もサービスを提供するコストを低減するといったものです。

電話を例に見てみましょう。電話を用いて通話をするのに必要な人数は最低でも2人であり、1人では通話が出来ません。通話をかける人と通話をかけられる人がいて初めて成立するのです。まさに、これこそネットワークの経済性が働いている証拠なのです。

通話をする当たり前の習慣が消費者の間で広まると、必然的に消費者は遠くの人と即時性を持った連絡を取れる電話の需要が高まります。すると、企業は新規顧客獲得の動きをしなくても必然的に利用者を獲得出来るため、販売促進費を低減させられるのです。これこそ、ネットワークの経済性の神髄なのです。

正のフィードバック

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ネットワークの経済性の1つに正のフィードバックの考え方があります。
これは、ネットワークサービスの参加者の増加に連れサービスの利便性が向上し、それに魅力を感じた事で更に参加者が増加する考えです。このサイクルが上手く回ることによってプラットフォームが活性化していきます。

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利用者が増えれば増えるほど企業にも利用者にも恩恵がもたらされるネットワークの経済性ですが、クリティカルマスと呼ばれる一定のボーダーを超えると更に利用者が急増すると言われています。これも正のフィードバックによる効能です。

ネットワーク経済性は安価にサービスを提供しやすくスピード勝負にとなりやすいビジネスで重視されています。正のフィードバックの流れに任せてクリティカルマスに到達するのを受け身で待っていてはいけないわけです。

プラットフォームビジネスは参加者に対して2乗の利便性が創出されるとされているからです。もたもたしていると、例え先発優位性を築いていたとしても乗算で増えていく後発者にいつの間にかシェアを奪われてしまうのです。

これらを防ぐために自社の提供するプラットフォームサービスがユーザーにとって「価値あるもの」にする必要があります。

どのようにして「価値あるプラットフォーム」を作るのかについては後々解説します。

ネットワークの経済性の成功事例

ネットワークの経済性は参加者が多くなればなるほど、ユーザーの利便性は向上し更に顧客を獲得できます。そのような特徴を持つネットワークの経済性について良く理解し、上手く活用する事で成功した企業の成功事例をここで紹介していきます。

実際に、ネットワークの経済性を働かせた事により圧倒的なシェアを確立した企業である「Line」と「メルカリ」の2社の事例をここで見ていきましょう。

LINE

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このブログを閲覧している方々の携帯にも恐らく入っているであろうLINE。同社は4大SNSの中でも驚異的な成長を遂げています。2020年10月時点ではLINEサービスを提供している主要4か国でのDL数は1億6700万人を記録しているのです。

さらに、サービス提供を始めてたったの256日で会員数2000万人大台を突破。Facebookの1152日/Twitterの1035日と並べると圧巻されます。

LINEは、ネットワークの経済性をいち早く働かせるためにサービス開発の初期段階にAmazonギフト500円分を10万人に配るプロモーションを行いました。5000万円のプロモーションをリリース段階で行い、結果として10万人のユーザーが増え、その便益がネットワークの経済性により2乗され100億倍にまで膨れ上がったのです。

この取り組みを行いネットワークの経済性を高めたことにより、利用者の間では利便性が向上し、企業は初期段階よりも低コストでの新規顧客獲得が可能となり今日の地位を確立しました。

メルカリ

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皆さんご存知のメルカリ。メルカリが登場するまではオークション形式で目当ての商品を落札して手に入れるのが主流でした。しかし、メルカリが登場したことにより誰でも売り手・買い手になることが可能となったのです。今では誰もが耳にしたことのあるサービスですが、当然サービスを認知してもらい、多くの人に利用してもらえなければネットワークの経済性は弱まります。

そこで、同社はサービス利用者が少ない時代に赤字にも関わらずTV広告やYouTube広告に大量のプロモーション費用をかけました。これにより、ユーザーがサービスを徐々に認知し始めメルカリのプラットフォームに参加していったわけです。そして、「クリティカルマス」を超え爆発的な利益を創出するに至りました。

まとめ

ネットワークの経済性は現代のネットワークビジネスにおいて必要不可欠であり、これを働かせて一度サービスをポジショニングを確立させるとその業界での支配者層に上り詰めることが出来ます。

そのためには、「価値ある」プラットフォームを提供し多くの人々にサービスを享受してもらう事が大切です。また、「価値ある」プラットフォームを提供していても後発企業に利用者数・利便性を越されては廃れてしまいます。

だからこそ、プラットフォームビジネス立ち上げの初期段階においてはプロモーションに注力する事が大切なのです。

プラットフォーム戦略とは?事例を踏まえて意味を分かりやすく解説の記事も併せてご覧になる事で、ネットワークの経済性をより深く理解しそれを活用したビジネスの機会を考える助けにもなるでしょう。

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