ロングテール戦略とは?成功事例とパレートの法則の違いを踏まえ分かりやすく解説

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皆さんはロングテール戦略というマーケティング用語をご存知でしょうか?この戦略はデジタルの発展によりもたらされた新たなwebマーケティング戦略です。この戦略は実際に大手ECサイトで使用されています。GAFAの一角であるAmazonがこの戦略を用いて成功を収めたことによりロングテール戦略は脚光を浴びることとなりました。今回は、webマーケティングに従事する人・興味がある人なら是非とも押さえておきたいロングテール戦略について解説していきます。

    目次

ロングテール戦略とは何か

ロングテール戦略は、ITの発展により登場した新たな戦略です。この章では、ロングテール戦略の意味やパレートの法則との違いについて解説しています。

ロングテール戦略の意味

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ロングテール戦略とは、少数のヒット商品の売上(図ではオレンジ色)をあまり売れない商品(図では緑色)の売上積み上げが上回ることで、全体の売上を増大させる考えに基づいた戦略です。ロングテールは恐竜の長い尻尾に見立てて名づけられています。

実はこの戦略、IT化が進む前は存在していませんでした。インターネットの普及により人々は手軽に情報を入手し拡散出来る時代に突入しました。この流れは企業にも影響を与えており、DX化がその1つとして挙げられるでしょう。

このDX化をはじめに、近年では様々なデジタル戦略が新たに創出されていきました。そうです。ネットが普及する以前ではできなかった取り組みやビジネスモデルが続々と実現可能になってきているのです。

ロングテール戦略の対義語:パレートの法則

パレートの法則は2割の在庫を占める売筋商品が全体の8割の利益を生み出す法則です。一見、ロングテール戦略と矛盾しているかのように思えますが、パレートの法則は決して間違った定説であるとは言い切れないのです。

時系列を追うと、パレートの法則⇒ロングテール戦略の順番で説が提唱されました。昔は、ITが普及していなかったためにリアル店舗での販売が主流でした。となると、狭い敷地で注目を集めるのは当然に売筋商品ですので、必然的に2割の在庫を占める商品が全体の8割の利益を創出していたのです。

ですが、インターネットの普及によりリアル店舗以外でも製品サービスを享受できる時代が到来しました。これにより、ITを活用してこれまでは売れなかった商品も売れるようになりロングテール戦略が登場したのです。

よって、パレートの法則はリアル店舗に適用され、ロングテール戦略はオンライン店舗に適用される事が多いと捉える事が出来ます。

パレートの法則について詳しく知りたい方はこの記事を読み終えた後でパレートの法則とは|意味や具体例、留意点を分かりやすく解説をご覧ください。

ロングテール戦略のメリット

次に、ロングテール戦略により享受できるメリットについて解説していきます。下記で3つのメリットを挙げました。早速見ていきましょう。

 

ロングテール戦略のメリット
  • 多様な顧客ニーズに応えられる
  • 安定した売上を見込める
  • ヒット商品が生まれる可能性がある

①多様な顧客ニーズに応えられる

当然ですが、少ない商品ラインナップよりも多くの商品をラインナップしていた方が消費者の需要を満たすことが出来ます。
季節やトレンドに合わせた商品を顧客に提示する事により、多様な消費者のニーズをいつ何時でも満たすことが可能になるのです。従来のリアル店舗での販売であれば、在庫管理の問題から多くの消費者が求める商品しか取り扱いが無かったのが、インターネット販売の登場によりリアル店舗よりもサイズの大きい倉庫にわずかな在庫をとどめておくだけで良いため、コスト最小化が実現されニッチなニーズにも応えられるようになりました。

②安定した売上を見込める

ヒット商品一筋で販促を続けるのはかなり危険な行為です。もし、その商品を上回る性能や品質の商品がヒット商品のニーズを上回った場合には、大きな在庫リスクを抱える可能性があるからです。これを回避するためにもリスクヘッジの考えにおいて、多様な種類の商品を販売した方が安全なのです。また、ニッチなニーズに応え続けていればそれらの商品売上高の合計がヒット商品の売上高を超え、大きな利益を創出する事になります。

③ヒット商品が生まれる可能性がある

市場に流出している商品がいつヒットするのかは誰にもわかりません。ただ1つ言えるのは、商品がヒットするには口コミが広まる事。この不確実性において、豊富な商品をラインナップしている方がより多くの口コミが集まる可能性があり、従ってヒット商品が生まれる可能性が高いのです。インターネットの普及により、従来のリアル店舗が抱えていた問題を乗り越えるられるようになったわけです。

ロングテール戦略の成功事例3つ

それでは、次にロングテール戦略の成功事例を3つご紹介します。

 

~ロングテール戦略を活用した成功事例3選~

①Amazon:倉庫と売り場の分離
②NETFLIX:在庫を持たないサブスク機能

③IKEA:倉庫と売り場の一体化

 

①Amazon:倉庫と売り場の分離

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ネットショップ最大手であるAmazon。
Amazonは独自の経営戦略により世界最大のECサイトを構築しています。その規模はとても巨大で日本市場だけで1億を超える商品数を取引しています。勿論、この商品取引にはヒット商品から年に数回しか購入されないモノも含まれます。Amazonの売上のうち57%はロングテールに分類される商品であり、売れ筋商品の売上を抜いています。

ロングテール商品でこれほどの売り上げを叩き出している秘訣はAmazon独自の戦略である自社倉庫を保有している点にあります。これにより、在庫廃棄のリスクを低減させていつまでも非売筋商品を在庫に置く事を可能にしているのです。

参考元:アマゾンのロングテール戦略

②NETFLIX:在庫を持たないサブスク機能

皆さんもご存じであろう大手動画配信サービスNetflix。契約者数は一億人を超えており、オリジナルドラマや英語・邦画・バラエティなど多様なジャンルの作品を提供しています。

Netflixの強みはニッチなジャンルの作品も網羅しているため誰でも必ず興味のある作品を見つけられる点にあります。また、動画をサブスクリプションで配信しているので在庫を抱える必要が無いのも大きな強みの特徴です。これにより、Netflixは今日に至るまでの巨大なプレゼンスを確立しました。

③IKEA:倉庫と売り場の一体化

IKEA Tokyo-Bayストア店舗情報(営業時間・アクセスなど)|IKEA【公式】 - IKEA

こちらも御馴染み大手家具メーカのIKEA
耐久性と弾力性を兼ね備えたポエングをオードリー春日さんが生放送で破壊してしまった衝撃はすごかったですね(笑)
同社は大規模な店舗を構えて幅広い商品を取扱う事で消費者ニーズを充足させています。売り場を倉庫として活用しているのです。これ程までに広大な店舗を敷設できるのにはIKEAが郊外に店舗を構えている事にあります。

これほどまでに多いと店内で迷子になったり、目的の商品にたどり着けない可能性がある不安が出てくるかもしれません。しかし、IKEAはアプリでの在庫情報や商品の置場を確認できるサービスを提供しているため、このリスクをカバーできているのです。

成功事例から見るロングテール戦略の成功条件

成功のポイント

ロングテール戦略で成功を収めている企業には共通点があります。ここでは、ロングテール戦略を活用した成功条件2つを解説しています。

在庫を抱える負荷が無い


ロングテール戦略の本質は売筋商品ではない商品の売上合計が大きな額になる事にあります。裏を返すと、それだけの売上を創出するための材料となる在庫を抱える必要があるという事です。少ない資本を元手にロングテール戦略を実践しようとしても規模の経済を効かせられずに破綻してしまいます。Amazon・Netflix・IKEAはこの在庫を上手く管理する事でロングテール戦略を実現可能なものにしたのです。

テクノロジーの活用

ITが普及し始める前はロングテール戦略は存在しませんでした。デジタルが発展したことにより、デジタル戦略が生まれロングテール戦略が創造されたのです。AmazonはEC上での販売管理システム・Netflixはサブスクリプションによるデータでの映像配信システム・IKEAはアプリによる在庫情報を活用したことで成功を収めました。上記の例から見て分かる通り、ロングテール戦略を成功させるためにはテクノロジーの活用は不可欠なのです。

まとめ

ロングテール戦略は規模の経済が働くビジネスやテクノロジーを活用したビジネスとの相性が非常に良いです。したがって、会社を立ち上げた初期段階でいきなりロングテール戦略を採用する事はナンセンスと言えるでしょう。まずは、しっかりと自社のポジショニングを把握したうえでどのサービスを展開していくのかを考えた方が先決です。

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