ジレットモデルの事例を基にメリット・デメリットを徹底解説

ジレットモデル 図

現代では、市場にモノが充分に溢れひとたび製品が購入されると、もう一度同じ製品を購入される機会が減少してきています。そこで、メーカーはこの問題を解決するために、製品本体の付属品の購入を検討させるように仕向けています。これが、ジレットモデルです。今回は、このジレットモデルについて事例を用いて分かりやすく解説していきます。

ジレットモデルとは

ジレットモデルとは、剃刀の発明家であるキングジレット氏により提唱され、製品本体を低価格で提供しその付属品を消耗品として販売する事で、安定して収益を確保するビジネスモデルを指します。別名レーザーブレード・モデルとも言います。

このビジネスモデルにより、購入される付属品の売上は製品本体の5~10倍程度だとされています。まさに、打ち出の小槌ともいえるでしょう。

参考:ジレットモデル 意味

ジレットモデルの事例

ジレットモデルのイメージ図

では、実際にジレットモデルを活用して販売されている消耗品を例に見て理解を深めていきましょう。

ジレット:カミソリと替え刃

カミソリと替え刃はジレットモデルの典型例として紹介される事が多いです。実は、この消耗品はジレットモデルの生みの親であるジレット氏によって発明されました。

かつて、カミソリは柄の部分と刃の部分が一体して販売されていたため、購入者は刃がダメになると新たに柄と刃が一体したカミソリを購入していました。そこで、ジレット氏は柄と刃を別々に販売し、これまでは消費者が不必要に変えていた柄の部分を交換せず刃の部分だけを交換するように仕向けました。そうすれば、消費者は刃だけを購入すれば済む為、一体型のカミソリを購入するよりも費用を抑える事が可能です。

また、当初は柄の部分を無料で提供したため、シェアを一気に拡大し成功を収めました。

任天堂:ゲーム機とソフト

任天堂はゲーム機を本体、ソフトを付属品として販売する事でジレットモデルを実践しています。任天堂の提供する製品は決して安価とは言えませんが、それでもゲームをプレイしたいがために購入する人が後を絶ちません。

また、任天堂は他社の提供するソフトもプレイできるようにしているため、他社からのロイヤリティを確保する事でも収益を上げる事が出来ています。

ゼロックス:コピー機とインク

ゼロックスは印刷業で有名な会社です。同社はコピー機を本体、インクを付属品として販売を始めた最初の会社としても知られています。

コピー機はインクが無いと印刷が出来ません。現代はデジタル書籍が販売されているものの、依然としてコピー機の需要があります。印刷の文化がある限り、コピー機とインクのジレットモデルは存在し続けるでしょう。

電動歯ブラシと付属ブラシ

当然ですが、電動歯ブラシはそれ単体だけだと歯を磨くことはできません。そのため、付属ブラシも購入する必要があります。

最近では、付属ブラシに音波式・振動式・回転式など固有のスペックを付与する事で個々のニーズに合わせた製品の提供もしています。そうする事で、顧客が非電動歯ブラシに移行しないように囲い込みをしたうえで、魅了し続ける事にも取り組んでいます。

携帯電話と通信費

皆さんが日頃使用している携帯電話も、ジレットモデルに該当します。会社によっては契約の種類により、同じ機種を2年間使用し続ければ携帯代金を無料にするなどしてシェアの拡大を図っています。

このモデルでは、携帯を本体、通信料を付属品とする事で継続的に利益を生み出していきます。また、顧客が途中で契約を放棄して携帯代金の未収金を防ぐためにも、契約時に契約満了前に解約した場合は基本料金支払いの義務が生じる等の規制を設けてリスクマネジメントを図っています。

ジレットモデルのメリット

上記の例を踏まえたうえで、ジレットモデルのメリットについて解説していきます。

高いイメージを植え付けない

ジレットモデルは、本体を無料あるいは低価格で販売する事で消費者の購入のきっかけを創出し、付属品で大部分の売上を回収していきます。仮に、本体と付属品を一体させて販売した場合には、両者を分けて販売するよりも高価格になってしまうため、消費者の買い控えが発生します。これを防止するためにも、あえて本体と付属品を切り離す事で収益増加に繋げることが出来るのです。また、そのようにして販売した方が一体型の製品を販売するよりも長期的に収益の確保が可能となります。

継続的に収益を確保できる

製品を本体と付属品に分けて販売する以上、消費者が本体を持っている限り付属品を定期的に購入する事が見込まれるため、継続して収益を確保できます。先ほど紹介した電動歯ブラシがその一例です。また、携帯会社のように1,2年の間は自社のキャリアを使用してもらう事を義務付ける事で、他社への流入を防ぐ事も可能になります。このようにして、消費の循環を促せるポイントがジレットモデルの最大のメリットです。

ジレットモデルのデメリット

ジレットモデルはメリットだけではありません。当然、実行の仕方を間違えると自社に損失を与えてしまう可能性も出てきます。下記では、ジレットモデルのデメリットについて解説していきます。

代替品の脅威に晒される

ジレットモデルの大半の収益源は本体ではなく付属品です。消耗品部分である付属品の代替品のみを製造する企業が新規参入した場合、その企業は本体の製造コスト回収をせずに済む為、消耗品を簡単に販売できます。加えて、本体の製造コストを回収しなくて済む為、本体を製造する会社よりも付属品を低価格で販売する事が可能です。そうなると、顧客が他社への流入してしまう可能性が大きくなります。そのため、本体を製造する企業は付属品に関する特許申請を行うなどして、参入障壁を高く築かなければなりません。

代替品の脅威についてはSCPモデルを実用的にした5フォース分析をわかりやすく解説|業界分析と企業分析の記事で解説していますので、ぜひご覧ください。

ジレットモデルを成功させるためには

では、ジレットモデルを成功させるポイントはどこにあるのでしょうか。下記では、ジレットモデルを成功させるためのポイントを2つ紹介しています。

本体を魅力的に魅せる

ジレットモデルを実現させるには、まずは製品の本体を購入してもらう必要があります。そこで、製品の本体に対する購入を積極的にしてもらうために、本体価格を無料あるいは低価格で販売する事が求められます。その他、本体自体に何かしらのスペックを付与する事で、購入のきっかけを作るようにしましょう。

参入障壁を高める

ジレットモデルのデメリットでも解説したように、本体よりも消耗が早い付属品分野の新規参入を図る企業も一定数出てきます。そうなると、自社の利益が低減してしまうため、時には付属品を他社の製品では使えないようにする事も必要となります。Appleの提供するiosではGoogleの提供するGoogle Playを使えないようにするなど、他社のプラットフォームの流入を防ぐなどしています。

まとめ:消費者の便益を高めつつ参入障壁を築く

ジレットモデルは、製品の本体と付属品をあえて切り話す事で一体型の製品を売るよりも多くの利益を長期的に確保するビジネスモデルです。このビジネスモデルは付属品で収益を上げていくため、参入障壁が低いと多くの新規参入者が現れてしまいます。しかし、それを防ぐために付属品を自社製品のものしか使えないように規制すると、消費者の便益が低下してしまいます。最悪の場合、その不便さを解消した他社に顧客が流入してしまう場合も想定されるため、自社の利益だけでなく消費者の便益も考えてジレットモデルを実践しましょう。

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