顧客ロイヤルティとは?意味や高め方について事例を交えて解説

顧客ロイヤルティとは

ビジネスの世界においてリピーターの存在は欠かせません。多額のコストをかけて新規顧客獲得をするよりも、低コストでリピーターを獲得した方が経費削減に繋がるからです。それ以外にも市場シェアの維持など様々な恩恵をリピーターは与えてくれます。

そこで外せない考えの1つに顧客ロイヤルティが挙げられます。顧客ロイヤリティが高いと自社製品を再度利用してくれる可能性もグンと高まります。また、それだけでなく口コミを広げ自社の宣伝にも寄与してくれます。

しかし、実際に顧客ロイヤルティの高め方を分からない人もいらっしゃるでしょう。そこで、今回の記事では顧客ロイヤルティの意味や高め方について、事例を交えて解説していきます。

顧客ロイヤルティとは

顧客ロイヤルティとは、顧客+ロイヤリティ(忠誠心)を足して作られた言葉です。従って、顧客が企業やブランド・製品サービスに対して抱く愛着・信頼を指します。

ITの普及に伴いサブスクリプション型サービスを始めとした「商品サービスの継続購入が命」であるビジネスでは特に重宝されています。その他のビジネスでも、顧客ロイヤルティはどの企業でも重要指標として向上させることに注力されています。

顧客ロイヤルティが重視される理由

ビジネスの世界では、新規顧客の獲得はリピーター獲得よりもコストがかかるとされています。一方で、顧客ロイヤリティが高いリピーターは、宣伝費や人的コストをかけずとも自ら製品サービスを利用してくれるため低コストで利益を生めます。

そのため、NetflixやSpotifyなどのサブスクリプション型サービスは、顧客ロイヤリティを向上させて高い顧客維持率の実現が求められています。

このような「売って終わり」ではなく「売ってからが始まり」のビジネスが普及した背景において、顧客ロイヤルティは重視されているのです。

顧客満足度(CS)との違い

顧客ロイヤルティと顧客満足(CS)は、良く混同されがちですが実は違います。顧客満足の定義は下記の通りです。

顧客満足(customer satisfaction)は、企業が提供する製品・サービス・接客が、顧客の期待にどの程度応えているかの指標として定義されます。

引用:顧客満足とは|NTTコムオンライン

一見すると、顧客ロイヤルティと大差ないように思えますが大きく異なります。

顧客満足は単なる「製品サービス利用後の満足度を表す指標」であるのに対して顧客ロイヤルティは「企業やブランドへの確固たる愛着や信頼を表す指標」です。また、顧客ロイヤルティと顧客満足は必ずしも相関関係ではありません。

顧客ロイヤルティは高くても、特定の製品に対する満足度が低い場合、顧客満足度は低いと判断されます。その逆も然りです。

また、顧客ロイヤルティにおける企業やブランドに対する愛着が形成される時間は長い一方で、顧客満足は製品自体に対する満足度を測る指標のため形成には時間がかかりません。

このような背景から、顧客ロイヤルティと顧客満足は計測方法も異なります。

2種類の顧客ロイヤルティ

顧客ロイヤルティは、「心理面のロイヤルティ」と「行動面のロイヤルティ」に2分されて考えられる事が多いです。この2つに分類する事によって、どのような戦略を基に顧客へアプローチするかを明確に出来ます。

下記が「心理面のロイヤルティ」と「行動面のロイヤルティ」の具体的な定義です。

  • 心理面のロイヤルティ:企業やブランド・商品に対して抱く感情
  • 行動面のロイヤルティ:企業やブランド・商品の継続利用や他者へ勧める行動

ここで注意すべきなのは、「心理面のロイヤルティと行動面のロイヤルティは必ずしも比例関係ではない」ということです。このような勘違いを生じさせない為にも、下記図のように心理面のロイヤルティと行動面のロイヤルティを基に4つのマトリクスにして考えなければなりません。

顧客ロイヤルティ 図 マトリクス

図で示されているAの領域は企業にとって最も重視すべき層であり、リレーションシップマーケティングにおいて、最も関係性を強化すべき顧客です。次いでBの領域は、「高級ビジネス」が該当します。ラグジュアリーブランドは、所持する事でステータスにはなるけども頻繁に購入する事は出来ません。このようなビジネスを展開する場合は、心理面のロイヤルティを高い状態で維持し、購買の機会を生むタイミングを見計らいます。

Cの領域は、コンビニやスーパーなど差別化が少なく頻繁に利用するサービス業が当てはまります。その他にも、交通インフラなどが該当します。しかし、近くにより利便性に秀でた他社が現れるとスイッチされてしまう可能性があります。そのため、現状に甘んじず心理面のロイヤルティを高める事に集中しましょう。

Dの領域は、認知不足・ネガティブなイメージ・他社にロイヤリティを感じている事が影響する事が多いです。行動面と心理面のロイヤリティのどちらも低いため、まずはその原因を突き止めて早急に改善をしなければなりません。

顧客ロイヤルティを高める場合は、顧客層をセグメント化しどの層からアプローチするのか優先順位をつけるようにしましょう。そうしないと、全ての策が曖昧になりどっちつかずの経営が災いし、自社に不利益をもたらす本末転倒の結果になってしまうでしょう。

顧客ロイヤルティによるメリット

顧客ロイヤルティが高いとどのようなメリットがあるのでしょうか。

ここでは、そのような疑問を抱える方たち向けに顧客ロイヤルティのメリットを5つ紹介しています。

  • リピート客の増加
    顧客ロイヤルティが高いと、リピートに繋がり自社に安定した利益を促す優良顧客になる可能性が上がります。
  • リピート頻度の増加
    購買頻度が向上する事により、顧客が自社にもたらす利益が向上します。
  • 顧客獲得コストの減少
    リピーターが増える事で、新規顧客開拓にかかるコストが減少し余ったリソースを他の事業や新事業に投資できます。
  • 自社製品を広めてもらえる
    心理面のロイヤルティが高い顧客による、SNSや口コミを通じた宣伝により自社が広告を打たずに新規顧客獲得を期待できます。
  • 利用単価の増加
    顧客ロイヤルティが高いロイヤルカスタマーは、利用額が一般客よりも高い傾向にあります。

上記の5つ以外にも、様々なメリットがありますが共通して「顧客ロイヤルティが高いと投資対効果が高くなる傾向」があります。そのため、顧客ロイヤルティは企業の明暗を分ける重要指標であると言えるでしょう。

顧客ロイヤルティの測り方

顧客ロイヤルティは、愛着や信頼のような定性的な要素であるため、定量化には注意が必要です。また、顧客アンケートを作成したはいいものの、設問数が100問にも及ぶと回答を渋る人も少なくないです。そのため、出来るだけ簡潔なアンケートを作成する必要があります。

そこで、顧客ロイヤルティに関するビジネス戦略の第一人者である、フレデリック・F・ライクヘルド氏はネットプロモータースコア(NPS)を用いた測定法を生み出しました。

NPSでは、顧客に対して次の2つの質問をします。

  1. 当者の製品サービスを周囲の家族・友人・同僚に進める可能性は0~10段階でどのくらいありますか?
  2. その数字を選んだ理由を教えてください

1つ目の質問では0~10段階の回答に応じて回答者を「推奨者」「中立者」「批判者」に分類します。

  • 推奨者(9~10と回答):再購入率が高く、他人へ勧める可能性が高い層
  • 中立者(7~8と回答):満足はしているものの他人へは進めない層
  • 批判者(6以下の回答):再購入率が低く、他人の購入を妨げる批判的な意見を伝える層

そして、推奨者の割合から批判者の割合を引いた数がNPSのスコアとなります。NPSスコアが高いと顧客ロイヤルティは高いため、企業は推奨者を増やし批判者を減らさなければなりません。

その際に、2つ目の質問に対する回答を基にして改善のポイントを把握していきます。NPSは、シンプルである上に改善すべき点が明らかになるため、多くの企業から重宝されています。

顧客ロイヤルティを高める方法

顧客ロイヤルティを高める方法

では、ここで実際に顧客ロイヤルティを高める方法について解説していきます。

手順①:顧客ロイヤルティの現状分析

前述した通り、顧客ロイヤルティは闇雲に高めるのではなく部分を改善していく方が無難です。そのためには、NPSを基に顧客ロイヤルティの指標を定めて調査をしたうえで現状把握する必要があります。

調査で見るべき具体的なポイントは以下の通りです。

  • ロイヤルティの度合い
    平均的なロイヤルティの数値はいくつか
    ロイヤルティの分布
  • ロイヤルティに見られる特徴や傾向
    性年代、地域を始めとした属性による傾向
    利用金額や頻度、期間
    ブランドやサービス間で結果にバラつきはあるのか
    利用場所や購入経緯に違いは確認できるか
  • 顧客ロイヤリティを向上/下げた原因は何か
    接客
    製品サービスの利用時

手順②:ロイヤルティ目標とターゲットの設定

次は、どのロイヤルティを改善するのか、どの消費者層をターゲットとするのかを決めていきましょう。

この時、自社の風土や戦略と照らし合わせてどの層をターゲットに定め、ロイヤルティ目標を打ち立てるのかを決めることが大事になります。顧客ロイヤルティは、ブランドとの結びつきが強いため消費者を困惑させるような目標は避けた方が無難でしょう。

手順③:顧客ロイヤルティを高める顧客経験の設計

最近では、経験価値マーケティングと呼ばれるように顧客経験価値を重視したマーケティングが叫ばれています。

そのため、顧客が「いつ」「何がきっかけで」「どのような行動をして」商品の購買をしたかを考えましょう。消費者が接触しうるタッチポイントを洗い出し、「心理面」「行動面」どちらのロイヤルティを高めるのかを各タッチポイントで正確に設計できるかがカギを握ります。

手順④:継続的に結果を検証し改善する

顧客ロイヤルティは、構築に長い時間がかかるため一時の結果に一喜一憂してはいけません。また、設計した顧客経験のタッチポイントにズレがある場合、直ちに修正する必要があります。

そのため、顧客ロイヤルティを高める為には継続的に結果を検証する事を念頭に置きましょう。

顧客ロイヤルティと社員ロイヤルティの関係

日本では昔から「お客様は神様だ」という言葉が伝えられています。

しかし、顧客だけでなく社員のロイヤルティも高める事も大事だと現代では認識されています。

例えば、ディズニーリゾートのスタッフは職場環境・待遇・価値観の共有が徹底されているからこそ、本心からの笑顔で接客できていると指摘されています。このように、社員ロイヤルティが高まると顧客ロイヤルティの向上に繋がり、結果として企業の利益が増大する事が近年では明らかになっています。

従って、顧客ロイヤルティを高める際は、顧客だけでなく社員のロイヤルティ向上にも努めましょう。社員ロイヤルティについては、【保存版】インターナルマーケティングとは?意味や事例を分かりやすく解説の記事をご覧ください。

まとめ

顧客ロイヤルティは、企業のブランドや売上に直結する大事な要素の1つです。そのため、企業が売上を伸ばしたいならば、新規顧客獲得だけにとらわれずリピーターを増やすための施策も考えなければなりません。

しかし、顧客ロイヤルティは一瞬では高まりません。企業と顧客とのタッチポイントを細かく明らかにして、どのようにロイヤルティを高めていくかを考える必要があります。売上の低迷に悩んでいる方は、顧客ロイヤルティに目を向ける事で新たな可能性が見えてくるかもしれません。

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