ブランド戦略とは?手順や事例、注意点を踏まえて解説

ブランド戦略

企業が利益を上げる上で、ブランド戦略は非常に重要な戦略です。近年では、ブランド戦略の重要性が見直され、企業はそれに基づいてマーケティング戦略や人事戦略に取り組むようになっています。しかし、ブランド戦略について上手く理解できていない人も多いのではないでしょうか。そのような方向けに、この記事ではブランド戦略の手順や実行・注意点について事例を踏まえながら説明しています。

ブランド戦略とは

ブランド戦略とは

ブランド戦略とは、企業が目標とするブランド像に向かって、マーケティング戦略や事業戦略などを実行して、ブランド価値を高め競争優位性を確立するための戦略です。

ブランドは、企業活動や売上に密接に関わるため「自社の企業について・どのような価値を提供するのか」を定めておかなければなりません。そして、企業は自社のミッションやビジョン・バリューとブランドを考えてビジネスを展開する必要があるのです。つまり、ブランド戦略は企業理念の次に大切な要素として位置づけられ、企業はこれに基づき商品をどのようにマーケティングしていくかを考えていきます。これは、商品だけでなく従業員や消費者、取引先など全ての利害関係者を意識して取り組むべきであり、事業全体に大きな影響を及ぼします。

ブランド戦略に基づいて実行されるマーケティング活動は、売り上げを上げる観点から企業全体に影響を及ぼすため、ブランド戦略との繋がりを意識して取り組む必要があります。

参考:グロービス 知見録

ブランド戦略を立てる手順

ブランド戦略構築の手順

前述した通り、ブランド戦略は企業理念の真下に位置付けられる重要な戦略であるため、取り組む際にはしっかりとした手順を基に実行しなければなりません。ここでは、ブランド戦略を3段階の手順を紹介しています。

手順1:ブランドコアの構築

ブランドコアとは、ブランド戦略の最上位に位置付けられており、ブランドの思想や行動指針となる最も抽象度の高い要素です。ブランドコアの設計では、必須要件となる5つのポイントが求められます。

  1. シンプルなコミュニケーション
  2. シンプルに実務に展開できる
  3. ブランドにおける全ての活動がコアに関連付けられる
  4. ブランドにおける全ての活動がコアに統合されている
  5. ブランド活動に関わる全ての人がコアを理解している

ブランド戦略において、土台となるブランドコアはブランドが実現したい目標や、そのためにブランドが何をすべきかの共通認識を持つ必要があります。ブランドを展開するにあたり社員同士や消費者間、取引先のステークホルダーが異なるブランドに対する価値観を持っていると、自社ブランドが曖昧になってしまい一貫性のある戦略を立てられません。

会社の提供する価値を再構築したが故に、顧客が離れてしまうのは良くある例です。これは、消費者と会社の間でブランドコアの共通認識が取れていないために、起きてしまった不利益です。こういった認識のズレを出来るだけ小さくするためにも、ブランドコアはシンプルで共通認識を取りやすいように構築しておく必要があります。

手順2:ブランドパーソナリティの構築

ブランドパーソナリティは、ブランド自体を特徴づけ、ブランドに関わる人がイメージを共有しやすくするために構築されます。コロンビアビジネススクールのバーンド・H・シュミット教授は「強いブランドにはパーソナリティがある。人がパーソナリティを表現するのと同じ表現でパーソナリティを語れる事が重要である.。」と唱えています。

例えば、スターバックスを人に例えるとビジネスマンやオシャレな人を思い浮かべるでしょう。一方で、トイザらスの場合は子供をイメージする人が多いでしょう。このように、強いブランド・良いブランドは簡単に擬人化出来る傾向があります。つまり、人柄になぞらえて企業柄・ブランド柄を簡単にイメージできるように、ブランド戦略においてブランドコアに基づいてブランドパーソナリティを構築していきましょう。

手順3:ブランドポジショニングの構築

ブランドポジショニングでは、ブランド戦略をさらに具体的にするために構築します。この段階では、消費者のブランドイメージを形成する要素をまとめることで、ブランドの立場を確立していきます。

「誰に」「どのような価値を」「どうやって」提供するのか、ブランドへの信頼性や安心感などがブランドポジショニングの要素として挙げられます。スターバックスであれば「オシャレでリラックスできるカフェ」、ルイ・ヴィトンであれば「希少性が高く入ステータス」といったイメージが挙げられます。

このように、消費者が自社に対して明確なブランドイメージを抱くことにより、市場において他社との差別化が図られ他社の過度な干渉を受けずにビジネスを展開できるのです。

ブランド戦略の実行

ブランドコア・ブランドパーソナリティ・ブランドポジショニングを整理したら、いよいよブランド戦略の実行に移ります。ブランド戦略を構築する手順で設定した「コア」「パーソナリティ」「ポジショニング」を基に、ブランドマネジメントを行っていきます。

ブランド戦略の実行は、長期的視点と短期的視点の両方を持って取り組む必要があります。長期的視点ではブランドネームやロゴ、商標やスタイルなどが挙げられ、短期的視点ではパッケージデザインやPR,社員研修などが挙げられます。これらは、消費者だけでなく従業員や取引先にも関わり「ブランドコア」「ブランドパーソナリティ」「ブランドポジショニング」といったブランド戦略に基づいて実行するようにしましょう。

また、ブランド戦略の実行に関わる全ての人が自社ブランドを十分に理解し、マーケティング戦略が事業戦略、人事戦略を始めとした全ての施策がブランド戦略と結びつくことで、ブランドエクイティを増大させます。

ブランド戦略の実行における注意点

ブランド戦略は、企業の収益に直結する非常に大切な役割を担っている為、実行は慎重に行う必要があります。実行の際に気をつけるポイントは下記の5つです。

  • ブランド戦略の整合性が取れている
  • 各手法の特徴に応じて最大限の効果を引き出す
  • 細部にまで気をつかう
  • 目的が明確かつ合っている
  • 結果を測定できる

ブランドは、企業にとって資産であり定期的にメンテナンスが必要です。そのため、効果測定を通じ自社の目指すブランドをブランド戦略によって作られているかを確かめるようにしましょう。また、ブランドコアの説明でもあったように、ブランド戦略はブランド関係者の共通認識を取れている事が大事になります。そのため、皆が同じブランドイメージを確立できるように、細部にも気をつかいブランド戦略の実行をしましょう。

上記の5つのポイントを実現するために、ブランドガイドラインを作成したりデザインを統一する企業も多いです。しかし、これらはあくまでブランドを守るための戦略であり、ルールの作成や順守が目的になってしまう場合があります。そうなると、柔軟性に欠けたビジネスの展開が横行し、自社に不利益をもたらす可能性が高まってしまうでしょう。あまりルールは作り過ぎずに、作るときは規定を設けるべき点を洗い出して必要最低限の範囲で規定するようにしましょう。

ブランド戦略の効果測定

ブランド戦略の実行における注意点でも説明した通り、ブランド戦略の効果測定は非常に重要です。

商品を発売したばかりの時は、当然ながらその商品の認知度や理解度も不十分で、顧客ロイヤリティも高くありません。そのため、どんなに良いブランド戦略を立て実行しても、消費者が認知し理解するまではあまり目立った成果が出ません。つまり、一定程度の経営資源を投下してもブランド資産が育たない場合は、そのブランドを手放す事も経営上は重要な判断となるのです。

さらに、強いブランドを育てるには長い時間と多くのリソースが必要であり、たとえ作り出せても一生ブランドが弱まることもあります。企業上層部の汚職問題やパワハラなどの不祥事が起きた際は、企業のブランドイメージが大きく下がり、以前の良いブランドイメージを取り戻すには長い時間と相当な努力が必要です。その際は、ネガティブなブランドイメージを払拭し、元のイメージを取り戻すために「ブランドコア」に原点回帰してブランドポジショニングを見直さなければなりません。

このようにして、ブランドを自社の目標とする地位まで育てるには、継続的にブランド調査を行って現状の立ち位置を客観的に把握する事が必要です。アンケートやインタビューを通じて、消費者がブランドに医学イメージを把握することでブランド戦略も臨機応変に改善していきます。通常、このような調査は毎年1回以上は行われ、ブランドヘルスチェックとも呼ばれます。企業理念の直下に位置するブランド戦略を固め、その効果測定を行う事により更に下のフェーズであるマーケティング戦略や事業戦略の適切な施策を打てるようになるのです。

ブランド戦略の成功事例

では、最後にブランド戦略の成功事例について紹介します。事例を学ぶことにより、ブランド戦略への理解をさらに深めることが出来るでしょう。ここでは「スターバックス」「無印良品」の成功事例を紹介しています。

スターバックスの成功事例

スターバックスは、家と職場に次いで自分らしさを取り戻せる第3の場所として「サードプレイス」をブランドとして掲げています。

競合他社とは異なり「コーヒーの質+空間」の2つにアプローチしたブランド戦略を行う事で、多くのロイヤルカスタマーを獲得しています。また、滞在時間に制限を設けず、顧客が気のすむまでくつろげる空間を提供しています。こうしたブランド戦略が功を奏し、今では人気No.1のコーヒーチェーン店としての強いブランドに成長を遂げています。

参考:スターバックス サードプレイス

無印良品の成功事例

現在は国内および海外に900店舗以上を展開する無印良品は、優れたブランド戦略により成功を収めました。

無印良品は企業理念である「自然と。無名で。シンプルに。地球大。」に沿って、忠実に一貫性のある商品を提供しています。シンプルさを重んじた統一性のブランド戦略により、ベッドや化粧水、食品や筆記用具などのありとあらゆるカテゴリーの商品を販売し、売上の拡大が著しい企業です。

企業理念を基にしたブランド戦略のケースとして、無印良品はまさに打って付けであると言えるでしょう。

参考:企業理念|株式会社良品計画

まとめ

ブランド戦略は、全社戦略において企業理念の真下に位置する非常に重要な戦略です。そのため、ブランド戦略の立案や実行は慎重に行わなければなりません。加えて、ブランドが育つには長い時間とリソースが必要となるため、ブランドを手放す事も時には必要な判断となります。まずは、企業のあるべき姿を考え、そのうえでブランド戦略により自社の目指すべきブランドの具体化を図るようにしましょう。

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