ダブルループラーニングとは?事例を交えて解説

ダブルループラーニング サムネ

組織は、日々明らかになるビジネス課題に対して柔軟に対応する必要があります。対応が早ければ他社を出し抜き、対応が遅ければ逆に出し抜かれてしまいます。それでは、企業がいち早く成長するにはどうしたら良いでしょうか。今回は、そのような疑問を解消するダブルループラーニングと呼ばれる学習法について解説していきます。

    目次

ダブルループラーニングとは

ダブルループラーニングとは、問題に対して既存の目的や前提そのものを疑い、必要に応じて新たな考え方や行動を取り組みながら軌道修正を行う学習法です。目的を変更せずに問題に対して軌道修正を行う学習法であるシングルループラーニングは「改善」であるのに対して、ダブルループラーニングは「改革」と呼べるでしょう。

ハーバード大学ビジネススクールのクリス・アージリスによって提唱されたこの学習法は様々な企業で重宝されています。シングルループラーニングだと行き詰まってしまった問題を、ダブルループラーニングで思考する事によって突破口が開ける可能性も高まります。

参考:グロービス経営大学院

ダブルループラーニングを取り入れるメリット

ダブルループラーニングの導入によるメリットは多くあります。ここでは、ダブルループラーニングのメリットを3つ紹介しています。

新たな可能性を発見できる

ダブルループラーニングは、既存の目的や前提を疑う視点で問題を解決するため、新たなビジネスの可能性を発見する可能性があります。シングルループラーニングでは、既存の枠組みや目的を正しいものであると捉えて改善を行うため、良くも悪くもイノベーションが起きずらいです。しかし、ダブルループラーニングでは、全ての事象を疑って問題解決に取り組むので様々なビジネスの可能性を発見する可能性があるのです。

思考に行き詰まる事が無い

ダブルループラーニングは、壁にぶつかると柔軟な思考で何か他に解決策はないか探し始めます。一方、シングルループラーニングは設定した目的や前提が間違えていると、改善を重ねても先へ進まずに計画が倒れてしまうでしょう。ダブルループラーニングを導入して既存の目的や前提から疑う事で初めて前に進める事もあるのです。

問題に臨機応変に対応できる

目的や前提を定期的に疑う事で、目的までの道のりが長い場合はもう少し手前の目的を設定するなどして問題に柔軟に対応する事が出来ます。また、前提も疑うことによって追加すべき要素や不要な要素を選定し、問題解決のための思考が鮮明なものになるのです。これを繰り返していくうちに、活き活きとしたビジネスを展開できるようになるでしょう。

ダブルループラーニングを組織に定着させるには

では、ダブルループラーニングを組織内に定着させるにはどうしたらよいでしょうか。ここでは、ダブルループラーニングを組織に定着させる方法3つを紹介しています。是非参考にしてください。

発言しやすい環境作り

ダブルループラーニングは、当たり前を疑う事から始まるため、年次の若い社員は問題に気づけても発言しづらい傾向があります。そのため、誰でも気兼ねなく発言できるような組織体制を整えることが必要です。例えば、会議では問題に対する肯定的な意見と否定的な意見の2つを述べるようにする制度を導入する等して、問題に対する違和感をそのままにしておかない工夫を施しましょう。

意見を受け入れる体制を整える

折角発言が多く議論が活発になっても、それを受け入れる体制がなければ意味がありません。そうでないと、ただ発言する行動だけが形骸化して折角のイノベーションの可能性も泡になってしまうからです。そのため、問題解決に対する意見の正しさを問わずに、一旦は意見を受け入れる体制を整えましょう。特に、部下は個客に対して最前線の現場で仕事をしているため、ビジネスの目的や前提に対して疑問を抱く人も多いです。そのような疑問を解消し、より良いビジネスを行うためにも意見を受け入れる体制の整備は必要でしょう。

変化に対応できる組織作り

ダブルループラーニングは、シングルループラーニングとは違い既存の目的や前提も覆る可能性があるため、時に大きな変化が起こることがあります。そのため、環境の変化に柔軟に対応できる組織でないと、ダブルループラーニングは根付くことは無いでしょう。変化に対応する組織を作るためには、あえて細かなルールは設けず計画実行の手段にゆとりを持たせる等して、元から社員自らが技術やノウハウをアップデート出来るような仕組みを整えておきましょう。

ダブルループラーニングの事例

ここまでダブルループラーニングについて理解できたものの、この学習法が実務でどのように活かされているか分からない人もいるでしょう。この章では、そのような方向けにダブルループラーニングの事例を紹介しています。

ダブルループラーニングの事例:ダイエット

ダブルループラーニングは、ダイエットにおいても有効です。糖質制限ダイエットを始めたけれど、体重が中々落ちなかったり、過度なストレスがかかっているとしましょう。この時、シングルループラーニングであれば、どうしたら糖質制限ダイエットを効率良く進められるのかを考えます。しかし、そもそもそのダイエット手法が自分に適していない可能性もあるのです。

そこで、ダブルループラーニングの出番です。糖質制限ダイエットから消費カロリーをなくす運動系ダイエットに切り替える事で、体重を落とすための他の可能性が見つかります。そして、体重が上手く落ちれば学習は成功し、仮に駄目ならば更に他のダイエット手法を試す事になります。ダブルループラーニングは、日常にも潜む学習法なのです。

ダブルループラーニングの事例:ホンダ

ホンダがアメリカ進出を決めた当初、日本の大型バイクでアメリカのバイク市場のシェアを奪うことを目的としていました。しかし、大型バイクが思ったよりも売れず、故障する事も多かったため売上は伸び悩んでいました。従業員はそのような退屈を晴らすためにプライベートの時間に小型バイクで西海岸を走っていました。すると、驚くことに現地のアメリカ人から小型バイクについて詳しく聞かれる事が多く、小型バイクにも需要がある事を突き止めました。

そして、大型バイクの販売から小型バイクを販売する事にシフトした結果、大きなシェアを獲得する事に成功したのです。この成功の裏には、現場の意見が受け入れられやすい組織体制や変化に素早く対応できる組織体制による、ダブルループラーニングを活かせる仕組みづくりがあった事は言うまでもないでしょう。

まとめ:ダブルループラーニングは可能性を拡大する

ダブルループラーニングは、既存のあらゆる事象を疑う事から始まります。この学習法を取り入れる事で、ビジネスチャンスのさらなる拡大も見込めるでしょう。ダブルループラーニングは、企業成長に欠かせない学習法です。これを機に是非導入してみてはいかがでしょうか。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です